
フェイスラインに触れると痛みを感じるしこりができると、
「ニキビ?リンパ節?それとも腫瘍?」と不安になる方は少なくありません。
フェイスライン周辺は、
皮膚・皮下脂肪・リンパ節・唾液腺・甲状腺・先天性の嚢胞など、
さまざまな組織が密集している部位であり、しこりの原因も多岐にわたります。
中には経過観察で問題ないものもあれば、早期の検査や治療が必要なものもあります。
この記事では、
- フェイスラインにできる「押すと痛いしこり」の原因
- どの診療科を受診すべきか
- 当院で行っている検査・治療方法
をわかりやすく整理し、適切な受診につなげることを目的としています。
フェイスラインにできる「押すと痛い」しこりの原因
フェイスラインは、皮膚のすぐ下に
リンパ節・唾液腺・脂肪組織・甲状腺・筋肉・血管などが集まる部位です。
そのため、しこりの原因は皮膚だけに限らず、首や深部組織の病変が表面に触れているケースもあります。
ここでは代表的な原因を解説します。
粉瘤
フェイスラインにできるしこりで非常に多いのが粉瘤です。
皮膚の下に袋(嚢腫)ができ、中に皮脂や角質が溜まります。
特徴
- 皮膚の下に丸いしこり
- 押すと痛む(炎症がある場合)
- 赤みや腫れを伴うことがある
- 中央に黒い点が見えることもある
炎症を起こすと急に痛みが強くなり、「しこりが大きくなった」と感じやすくなります。
脂肪腫
脂肪腫は脂肪細胞が増殖してできる良性腫瘍です。
通常は柔らかく、痛みを伴わないことが多いですが、
フェイスラインでは神経に近いため、押すと痛みを感じるケースもあります。
特徴
- やや柔らかい
- ゆっくり大きくなる
- 炎症がなければ赤みは少ない
リンパ腫
リンパ腫はリンパ組織から発生する腫瘍で、無痛性のしこりとして見つかることが多いですが、周囲に炎症が及ぶと違和感や痛みを感じることがあります。
特徴
- 急に大きくなる
- 硬め
- 数週間以上変化しない
といった場合は注意が必要です。
リンパ節炎
風邪や口腔内炎症、ニキビ、歯のトラブルなどにより、フェイスラインのリンパ節が腫れて痛むことがあります。
特徴
- 押すと痛い
- 数日~数週間で縮小することが多い
- 体調不良と同時期に起こる
一時的な腫れであることも多いですが、長引く場合は受診が必要です。
結節性甲状腺腫・腺腫様甲状腺腫
甲状腺のしこりが、首〜フェイスライン下部に触れることがあります。
特徴
- 飲み込むと動く
- 痛みは少ないが、炎症があると痛むこともある
- 大きさが徐々に変化する
甲状腺由来の場合、耳鼻咽喉科での評価が重要です。
側頸のう胞
先天的に首の横にできる嚢胞で、思春期〜成人になってから目立つことがあります。
- 柔らかい
- 感染すると急に腫れて痛む
- 繰り返す炎症が特徴
正中頸のう胞
首の正中に近い部分にできる先天性嚢胞で、
感染時には痛みや腫れを伴います。
- 飲み込むと上下に動く
- 炎症時に強く痛む
ニキビ
フェイスラインは皮脂分泌や摩擦が多く、ニキビがしこりのように触れることがあります。
- 表面が赤い
- 数日~1週間で変化する
- 中心に膿が見える
ただし、治らずに長引く場合はニキビ以外の疾患を疑う必要があります。
フェイスラインにできる押すと痛いしこりは何科に行くべきか
原因が多岐にわたるため、診療科選びが重要です。
耳鼻咽喉科を受診すべきケース
- リンパ節腫脹
- 甲状腺由来が疑われる
- 飲み込みで動くしこり
- 首の深部にある違和感
耳鼻咽喉科では超音波検査などで評価が可能です。
皮膚科で対応できるケース
- ニキビ
- 炎症性粉瘤
- 皮膚表面の感染
初期治療や薬物治療は皮膚科で対応できますが、根治的な切除ができないケースも多いのが実情です。
形成外科が適しているケース
- 粉瘤や脂肪腫の切除
- 傷跡をできるだけ目立たせたくない
- 診断から治療まで一貫して行いたい
フェイスラインは見た目に影響しやすいため、形成外科での診療が適しています。
当院で行うしこりの検査と治療方法
生検・病理検査による診断
必要に応じて、
- 超音波検査
- 生検
- 病理検査
を行い、良性・悪性の判断を行います。
切除による治療
良性腫瘍の場合は、局所麻酔下で切除が可能です。
- 短時間
- 日帰り
- 保険適用
傷跡が目立たないよう、部位に応じた切開・縫合を行います。
まとめ
- フェイスラインの押すと痛いしこりは原因が非常に多い
- 一時的なリンパ節炎から腫瘍まで幅広く考える必要がある
- 長引く、急に大きくなる、硬い場合は早めの受診が重要
- 皮膚由来は形成外科、深部・甲状腺由来は耳鼻咽喉科が適している
- 正確な診断と適切な治療で、不安は解消できる