粉瘤(アテローム)の定義とは

粉瘤(アテローム)とは、表皮嚢腫とも呼ばれる良性の腫瘍のことです。皮膚の下に袋状の組織ができ、そこに皮脂や角質といった老廃物が溜まったものを指し、はじめはほとんど目立つことはなく、ニキビや小さなしこりのように感じます。

盛り上がりの中央には、小さな黒い点のように見える開口部があります。開口部は炎症すると分からなくなることもあります。
老廃物の溜まった袋が壊れると、ヒトは自分で作った老廃物であっても、異物と認識するため、異物反応を起こします。それが炎症です。
炎症はヒトが老廃物をカラダの外に出す方法ですが、その際は皮膚に爆弾を投げた状態になります。爆弾は皮膚だけではなく皮下組織にも影響を及ぼし、色々なものを壊していきます。
そのため、大きな破壊により皮膚が赤くなり、最終的には皮膚に穴が開きます。老廃物を少し出すことができ、炎症は収まりますが、完全には出すことは出来ずまた再発してしまいます。また炎症のせいで、皮膚は大きく傷つけられ、傷跡と色素沈着が大きく残ってしまいます。
粉瘤について以下の動画で解説しています。
炎症を繰り返す事で創部は色素沈着を残し傷跡も目立ってしまいます。よって、出来るだけ炎症が起きる前の手術をオススメします。
粉瘤の手術前検査

エコーは腫瘍を見極める上で非常に有用な検査になります。当院では皮膚に様々な腫瘍を持った患者様が来院されます。見ただけで腫瘍の種類が分かる患者様もいらっしゃいますが、皮膚の下に出来た腫瘍では見ただけで腫瘍の診断をすることは出来ません。そのためエコー検査を使用した診察が必要になります。
粉瘤はよく見る腫瘍ですが、血管腫や石灰化上皮腫、脂肪腫、皮膚線維腫などと間違えやすく、やはり術前のエコーが非常に重要になります。開口部が明らかで、小さな粉瘤の場合には簡単な診察のみで手術を行いますが、開口部がなく、大きな腫瘍の場合には他の腫瘍を除外する必要があります。
最近では携帯型エコーなどエコーもスマホのよう容易に使用することができ、非常に便利になってきています。しかし解像度では大きなエコーには負けてしまうので、難しい症例では大きなエコーで診察する場合もあります。

粉瘤の手術方法
当院では炎症が起きていても出来るだけ早く手術する方が良いと考えていますので当日手術を行っています。
直径が数センチある大きな粉瘤でも手術は5~10分程度、長くても20分を超えることはほとんどありません。
粉瘤はくりぬき法または切開法という手術法を用いて摘出します。局所麻酔を行う際、注射による痛みを伴いますが、当院では患者様の痛みなどの負担を軽減するために極細針を使用します。
また局所麻酔後に患部の状態によっては、局所麻酔や生理食塩水を注入することにより、皮膚と周囲組織を剥離します。(hydrodissection)
くりぬき法

トレパンなどの特殊な器具を用い皮膚に素早く小さな穴をあけ、そこから粉瘤の内容物を絞り出し、その後しぼんだ袋状の組織を引き抜く手術法です。
今までの治療では炎症している症例では切開のみを加え、毎日外来での洗浄処置を行っていましたが、痛みも伴い2−3週間、辛い毎日を送ることになります。切開のみでは内部に老廃物や皮膜が残ってしまい、カラダは炎症をおさめてくれません。切開のみではなく、内容物を完全に除去することで炎症を早く静め、痛みからの解放が早くなります。また炎症が長く続く事で、色素沈着が強く残ったり、傷跡も残りやすくなります。
当院では炎症でもくりぬき法を行っていますのでお気軽にご相談ください。
当院のくり抜き法は、手術時間も短く患者様の負担も少ないです。手術時間は5分~20分です。
粉瘤の周辺に局所麻酔を行います。
局所麻酔には麻酔薬による痛みを軽減するためにメイロンを混ぜています。
炎症していない症例では表面に少し打つだけで麻酔は効いてしまいます。

トレパンやメスを用いて皮膚に小さな穴をあけます。
パンチを使用し、開口部を含めて切除します。炎症していると開口部が見つからない場合もあるので注意が必要です。

圧迫を行い、内容物(垢や皮脂などの老廃物)を絞り出します。

袋が小さくなったところで腫瘍の周囲を剥離し、粉瘤の袋状の組織(被膜)を摘出します。
症例により袋が柔らかかったり、丈夫に出来ていたりします。臀部などでは袋が分厚く硬いこともあり、炎症せずに大きくなることが多いです。

しっかりと止血を行い、切開した傷を縫合します。
露出部は人に見られる部位でもあるため、出来るだけ小さな傷で取る事を意識しています。

腫瘍を摘出した後は創部の止血を確認します。術後に出血があると創部内に血腫ができるため、注意が必要になります。血腫が出来ると感染の原因になったり、傷の治りが遅れたりするため、創部に大きな空洞(死腔)が出来る場合にはドレーンという管を挿入する場合もあります。
切開法

粉瘤直上の皮膚を切開し、粉瘤をまるごと摘出する手術法です。
再発する可能性が低いため、患者様の状態によっては切開法を選択する場合があります。
粉瘤の周囲に局所麻酔を行います。
局所麻酔には麻酔薬による痛みを軽減するためにメイロンを混ぜています。

腫瘍上に紡錘形に切開ラインをデザイン後、メスで慎重に切開します。

腫瘍の周囲を丁寧に剥離を行います。
腫瘍は皮膜ぎりぎりで剥離を行うことで出血を抑えることができます。また、組織をうまく剥離できれば、指だけで腫瘍を切除できます。

粉瘤をまるごと摘出します。

縫合の際に皮膚にシワを作らないよう切開ラインをデザインします。

しっかりと止血し、切開部分を縫合します。
腫瘍を摘出した後は創部の止血を確認します。術後に出血があると創部内に血腫ができるため、注意が必要になります。血腫が出来ると感染の原因になったり、傷の治りが遅れたりするため、創部に大きな空洞(死腔)が出来る場合にはドレーンという管を挿入する場合もあります。
しこりが気になり、皮膚科を受診して『気にしなくていいよ』と言われて放置した結果、炎症を起こした患者様が当院にも沢山来院されます。手術が苦手な先生や忙しい先生は切除してくれない事も非常に多いため、形成外科を受診することをお勧めします。
粉瘤の症例
粉瘤の術前と術後の写真を紹介します。粉瘤は様々な原因により生じるため、人によって状態や見た目が異なります。粉瘤を疑ったら、まずこちらのページをご覧ください。術後どのような仕上がりになるのかといった不安に対しても参考になると思います。


術後1ヶ月の経過

1ヶ月でもかなり傷が目立たなくなっています。3~6ヶ月経過することで更に目立たなくなります。
主なリスク:傷跡、ケロイド、内出血、麻酔薬アレルギー、疼痛、再発
粉瘤手術後の過ごし方と副作用
術後の過ごし方
術後は患部にガーゼを貼り帰宅します。
1~3日はガーゼが血で滲むため毎日ガーゼを交換します。ガーゼが血や体液で汚れなくなったらテープを貼って過ごします。シャワーで傷を流しても問題ありませんが、必ず新しいガーゼに交換してください。入浴は感染の可能性があるため抜糸までは避けてください。
傷痕は2~3週間で一度硬くなり、徐々に柔らかくなっていきます。患者様の体質や環境によってはケロイドや肥厚性瘢痕になる場合があります。不安な方はお気軽にご相談ください。
副作用
腫瘍の場所や大きさ、状態にもよりますが手術の傷痕が全く残らないということはありませんが、可能な限り目立たない方法で行います。なお手術当日・翌日は飲酒、運動や入浴(入浴は当日のみ)は出血のリスクがあるため控えてください。麻酔や処方薬によるアレルギー症状などの副作用が起こる方もいらっしゃいます。再発の可能性もゼロではないため、慎重に手術を行います。
粉瘤の手術にかかる費用
粉瘤の検査や診断、手術、病理検査などはすべて健康保険や公費の適用になりますので、ご安心ください。 また、患者さま個人で医療保険に加入されている場合は、契約内容によって手術給付金などのサポートが受けられる可能性がございますので、事前に加入されている保険会社にお問合せください。
平日:18:00以降、土曜:12:00以降、日曜・祝日:終日 の診療では下記の追加料金が発生致します。
| 3割負担の場合 | 1割負担の場合 |
|---|---|
| 150円 | 50円 |
露出部(顔、首、肘から指先まで、膝から足先まで)の場合
| 切除した粉瘤の直径の合計 | 3割負担の場合 | 1割負担の場合 | 別途費用 |
|---|---|---|---|
| 2cm未満 | 5,000~6,000円程度 | 2,000円程度 | 診察料・処方料 1,000円程度 検査費用 1,000円程度 病理検査費用 3,000円程 |
| 2cm〜4cm未満 | 11,000~12,000円程度 | 4,000円程度 | |
| 4cm以上 | 13,000~14,000円程度 | 4,500円程度 |
※お支払いは現金のみとなります。
非露出部の場合(露出部以外)
| 切除した粉瘤の直径の合計 | 3割負担の場合 | 1割負担の場合 | 別途費用 |
|---|---|---|---|
| 3cm未満 | 4,000〜5,000円程度 | 1,500円程度 | 診察料・処方料 1,000円程度 検査費用 1,000円程度 病理検査費用 3,000円程 |
| 3cm〜6cm未満 | 10,000〜11,000円程度 | 3,500円程度 | |
| 6〜12cm未満 | 12,000〜14,000円程度 | 4,500円程度 | |
| 12cm以上 | 25,000円程度 | 8,000円程度 |
※お支払いは現金のみとなります。
当院の特徴
特徴1診察した上で適切な手術を決定

まずは診察によって気になる部分が粉瘤であるかどうかを判断します。診察結果をお伝えし、適切な治療をご提案します。患者様のご要望を伺いながら治療方針を決めていきますので、ご安心ください。
粉瘤の手術は体への負担が少なく日帰りで受けることができますが、ご自身の体にメスを入れるわけですから不安を感じて当然です。
また手術後の傷痕がどの程度残るのかなども気になると思います。当院では、患者様の不安を少しでも解消できるよう寄り添い、それぞれの患者様に合った治療方法を選択できよう事前のご説明、ご相談を大切しています。
特徴2痛みを軽減させる手術

手術の際は局所麻酔を用い痛みを軽減させます。局所麻酔を注射する際も、極細の針を使用し薬剤の配合も工夫するなど痛みを軽減する配慮を行っています。
痛みが苦手な方はお気軽にご相談ください。個別の対応も可能ですので、痛みを軽減するための様々なご提案を行います。
特徴3入院が不要!日帰り手術に対応

当院では、たとえ炎症性の粉瘤であっても基本的に日帰り手術が可能です。
事前の診療で粉瘤の大きさや数、炎症の有無などを確認し、日帰り手術が可能か否かを慎重に判断します。
手術に全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の疑いがある場合などは提携している大学病院などをご紹介させていただき、安心で円滑な治療を心掛けています。
特徴4粉瘤の手術は保険適用

粉瘤の治療で行われる、検査、診断、手術、病理検査などの診療行為のすべてが健康保険や公費の適用になります。自費ではなく1~3割負担のため、経済的にもご安心いただけると思います。
また患者様個人で医療保険に加入なさっている場合、契約内容によっては保険金(手術給付金など)を受けられる可能性がございますので、事前に保険内容を加入している保険会社にご確認ください。
特徴5短時間・傷が目立たない手術を提供

形成外科の切開法・縫合技術を取り入れ、傷跡・見た目にこだわった手術を行います。顔や露出部など人目に付きやすい部位、切開が難しいと言われた方や他院で治療を断られてしまった方も、まずは当院にご相談ください。
ご予約の流れ

ご予約は「WEB予約フォーム」または
「お電話(03-6302-1485)」にて可能です。
WEB予約はいつでも空き状況が分かり、スマホでいつでも予約・変更ができるのでおすすめです。
お電話でのご連絡は、
受付時間内(10:00~13:00、15:00~18:00)にお願いいたします。
時間外はお電話がつながりませんので、ご注意ください。
院長紹介

日本形成外科学会 専門医
古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
