粉瘤の臭いについて
粉瘤は、独特の悪臭を発することがあります。皮膚の下の袋状の組織にたまった老廃物が圧迫などにより体外に出てきた時に、特に強く臭いを発します。内容物は白や黄色っぽい色をし、形状はドロドロとしています。粉瘤はニキビと間違えられますが、ニキビからはこのような臭いの強い内容物は出てきません。この独特の臭いから、できものが粉瘤であることが分かります。
また粉瘤が炎症を起こした場合、内容物が体外に出ていなくても臭いを発することがあります。
粉瘤の悪臭
その匂いは何日も履き続けた靴下、タンパク質の腐敗臭などに例えられることがあり、とても強く独特の悪臭を発します。触ったり、圧迫したりすることで臭いのもとになるドロドロした内容物が出てきて、これが悪臭を発します。また炎症を起こすと内容物が体外に出ていなくても悪臭を生じるケースがあります。
粉瘤の臭いの原因
粉瘤内部の老廃物自体の臭い、そして粉瘤内で繁殖した細菌が代謝することで分泌する成分が臭気を発していると考えられます。
原因1:老廃物自体の臭い
粉瘤の内容物は主に皮脂や垢などの老廃物です。それらが長期間とどまっているため、悪臭を発すると考えられます。
原因2:細菌が代謝の過程で発する物質
粉瘤が炎症を起こすとプロプリオバクテリウムという嫌気性の菌が増殖し、プロピオン酸という悪臭を放つ物質を分泌します。この場合、内容物が体外に出なくても、皮膚上の小さな開口部から臭いが漏れ出し悪臭を発します。
粉瘤は炎症を起こすと悪臭を発するリスクがかなり高まります。炎症を起こす前に治療を受けることをおすすめします。
臭いのある粉瘤は潰さないでください!
粉瘤からドロドロとした内容物が出てくると、気になって習慣的に粉瘤を潰してしまう方がいらっしゃいます。
粉瘤は嚢腫と呼ばれる袋状の組織を手術により摘出しないと治りません。内容物を絞り出して一時的に小さくなったように見えても、嚢腫が体内に残っている限り老廃物が再び溜まり元に戻ります。粉瘤は細菌感染だけではなく、嚢腫が破れ内容物が皮膚の内部に漏れ出すことでも炎症を起こします。潰すなどの圧迫を加える行為は炎症リスクを高める行為と言えます。繰り返すうちに大きくなり、炎症により化膿しすると綺麗に治すことが難しくなることがあります。また強い痛みを伴うこともあります。
粉瘤を重症化させないために、押したり触れたりせずにできるだけ早く受診することをおすすめします。
炎症のある粉瘤の治療は専門のクリニックへ
当院では、できるだけ手術の傷痕が綺麗に仕上がるよう心掛け治療を行っています。主に「くりぬき法」という手術法を用いており、それ以外の手法においても形成外科専門医としての豊富な知識や経験を活かした治療方法をご提案しています。
炎症が強く膿が多い場合には、皮膚を小さく切開して膿を取り出して綺麗にし(排膿処置)、炎症が引いてから改めて粉瘤の摘出手術を行うこともあります。
なお、粉瘤の手術は、基本的に入院の必要のない日帰り手術で行っています。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。