足にできるできものには、さまざまな種類のものがあります。痛みを感じたり、大きくなったりするなど日常生活に支障をきたす場合は、適切な処置を取る必要があります。
本記事では、足にできるできものの種類や治療方法について解説します。症状が悪化する前に治療をすることで、元のきれいな状態に戻すことができます。足のできものにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
足にできる良性のできものの種類
まず、足にできる良性のできもの(転移しない腫瘍)の種類を紹介します。
たこ(胼胝)
たこは、圧迫や摩擦など外部からの慢性的な刺激を受けることによって角質が厚くなり、皮膚が盛り上がる症状です。医学的には、胼胝(べんち)と呼びます。自分に合わない靴を履いていたり、歩き方や立ち方の癖があったりするとできやすくなります。角質が厚くなり、感覚が鈍っているケースが多いため、痛みを感じることはほとんどありません。
たこは、生活習慣や職業など、その人の癖で身体のどこにでもできるできものです。「ペンだこ」や「座りだこ」をイメージするとわかりやすいでしょう。
基本的に放置していても問題はありませんが、痛みや赤みを伴う場合は何らかの原因で細菌感染を起こしている可能性があるため注意が必要です。異変を感じた場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。
うおのめ(胼胝)
うおのめは、直径5~7mm程度の硬い角質の塊のことです。「たこ」と同様、外部からの圧迫や慢性的な刺激を受けることで発症します。できものの中心部分に「魚の目」のような芯ができるため「うおのめ」と呼ばれていますが、医学的には鶏眼(けいがん)と呼びます。
たこと異なる点は、痛みを感じることです。外部からの圧迫が続くと「芯」が皮膚の下にめり込み、押したり歩いたりすると神経を圧迫して痛みを感じます。
うおのめは足裏が好発部位ですが、手足の指のふちや間にできることもあります。放置していると大きくなる可能性もあるため、早めの除去が望ましいできものです。
いぼ(尋常性疣贅)
いぼは、身体のあらゆる場所にできる病変で、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症します。医学的には尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)と呼ばれ、足の裏にできるいぼは足底疣贅(そくていゆうぜい)と呼びます。
足底疣贅は、歩行の際に負荷がかかり、いぼが奥に押し込まれてしまうため「最も治りにくいいぼ」と言われています。
いぼは表面がざらざらしており、形状はさまざまです。伝染性があるため、別の箇所に広がったり、人から人に感染したりします。
プールサイドや公衆浴場など、裸足で行動する場所で感染する可能性が高く、家庭内では皮膚の接触やタオルやバスマットなどを介して感染する可能性があります。
ほとんどのいぼは、痛みを伴いませんが、足底疣贅は歩いたときに痛む場合があるため気をつけなければいけません。また、体重で圧迫され平らになり、周辺が分厚い皮膚で囲まれる可能性もあります。
脂肪腫(リポーマ)
脂肪腫は、皮下に発生するやわらかい良性のできもので、脂肪細胞で構成されています。リポーマと呼ばれることもあり、皮下にできるできものの中で最も多いできものです。ぷくっと膨らみますが、痛みはありません。
大きさは1cm~15cm程度と幅広く、ゆっくりと徐々に大きくなりますが、自然に消えることはありません。日常生活に支障がなければ無理に取る必要はありませんが、小さいうちに摘出すれば傷口も小さくて済みます。
急速に大きくなった場合は、別の病変の可能性があるため注意が必要です。
粉瘤(アテローム)
粉瘤は、袋状の組織の中に垢や皮脂などの老廃物が溜まってできる良性の皮下腫瘍です。アテロームや表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれています。内容物が垢や皮脂のため、清潔にしていないことが原因と思われがちですが、体質による差もあり清潔にしていても発生します。
ニキビと勘違いされることがありますが、粉瘤は自然に治ることはありません。腫瘍の中央に黒い点が見られることが特徴で、サイズが大きくなったり独特の臭いを発したり、細菌感染などによって炎症を起こす可能性があります。
炎症を起こした場合、化膿して強い痛みを伴う場合があるため注意が必要です。粉瘤は良性の腫瘍ですが、サイズが大きいものや炎症を繰り返していると、まれに悪性腫瘍になる可能性もあるため気をつけなければいけません。
足にできる悪性のできものの種類
足にできる悪性のできものの種類を紹介します。悪性の腫瘍は命にも関わる可能性があるため、疑いがある場合はすぐに病院で受診することが必要です。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は、皮膚の細胞が悪性化してできる腫瘍で、皮膚がんの一種です。「ほくろのがん」とも呼ばれており、皮膚のメラニン(色素)を作る「メラノサイト」という細胞が悪性化したものです。黒色もしくは褐色のシミや、腫瘤として皮膚の表面に現れます。
メラノーマは、白人に多い皮膚がんです。日本人の患者数は10万人に1~2人※1と言われており、稀少がんとして扱われていますが増加傾向にあります。
一般的には、シミやほくろが徐々に拡大し、ある時点から急に大きくなる経過をたどるケースが多く見られます。
悪性黒色腫は転移する可能性もあり、命に関わる疾患のため絶対に放置してはいけません。
基底細胞癌(きていさいぼうがん)
基底細胞癌は、皮膚の一番下の層にある基底細胞や毛根を包む組織を構成する細胞から発生する悪性の腫瘍です。基底細胞癌は、皮膚がんの中で一番多いものです。顔にできることが多いがんですが、身体の表面のどこにでもできるため足にできる可能性もあります。
基底細胞癌は、直径1~2mm程度の黒い点が皮膚の表面に現れ、次第に円や楕円の形で広がり、さらに進行すると中央がへこんで腫瘍になります。
転移することはまれですが、放置していると腫瘍は拡大し出血するようになります。適切な切除を行えば、再発する可能性は低いがんですが自然治癒することはありません。
足のできものの治療方法
上記で紹介した足のできものの治療方法は以下のとおりです。
できものの種類 | 治療方法 |
---|---|
たこ | 専用の医療機器で患部を削り取る |
うおのめ | ・軟膏で芯を浸軟させた後、芯の根元から切除 ・-196℃の液体窒素による冷凍凝固療法 |
いぼ | -196℃の液体窒素による冷凍凝固療法 |
脂肪腫 | 外科手術(切開法)※局所麻酔を使用 |
粉瘤 | 外科手術(くり抜き法・切開法)※局所麻酔を使用 |
悪性黒色腫 | 病状の進行度によって異なる (外科手術、リンパ節の生検、化学療法など) |
基底細胞癌 | 手術による切除 |
足にできものができたら何科を受診する?
足にできものが出来た場合は、形成外科もしくは皮膚科を受診しましょう。
できものを根本的に治療するためには、外科手術が必要になるケースが多くあります。傷跡をきれいにしたいのであれば、手術に特化している形成外科の受診が必要です。
一方、皮膚科は病理診断をして内服薬や塗り薬などを使用して治療します。薬で治療できるものであれば、皮膚科でも問題ありません。
皮膚科でも、できものの摘出手術を行う場合もありますが、より傷跡を目立たなくしたいのであれば、手術を専門分野とする形成外科が最適といえます。形成外科は「外科」、皮膚科は「内科」とイメージするとわかりやすいでしょう。
良性のできものであれば放置していても問題ないケースもありますが、悪性腫瘍の可能性もゼロではないため、一度しかるべき病院を受診することをおすすめします。
足にできものができた際の注意点
足にできものができた際の注意点を紹介します。
放置しても治らないできものが多い
足のできものは放置していても自然に治らないできものが多いため注意が必要です。できものの種類によってはサイズが大きくなったり、痛みを伴うこともあります。
できるだけ早めに治療することで、傷跡も小さく済みます。
根治させるために摘出が必要なケースもある
できものを根治させる場合、外科手術による摘出が必要なケースがあります。適切な処置をしなければ、再発する可能性もあるため気をつけなければいけません。
できものを必要以上に触ったり、自分で潰したりすると症状が悪化するため絶対にやめましょう。
悪性の可能性もある
先述したように、できものは悪性腫瘍の場合もあるため注意が必要です。悪性のできものを放置していると命に関わることもあります。
そのため、自己判断でできものを良性と決めつけて放置することはおすすめできません。医師に診断してもらい、適切な治療をしてもらいましょう。
まとめ
足にできるできものは、良性のものから悪性のものまでさまざまな種類があります。放置していても自然に治るできものはほとんどないため、早めに病院を受診することが望ましいです。
当院では、形成外科専門医が施術を行なっています。傷跡が目立たず、きれいな仕上がりでできものを切除します。痛みを抑えた日帰り治療を行なっているので、足に気になるできものがある方はお気軽にご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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