東京での粉瘤治療 くりぬき法/切開法について専門医が徹底解説
粉瘤の取り方いついて動画で解説しています。
主な粉瘤の取り方はくりぬき法と切開法に分かれます。
くり抜き法
生検用パンチを使用し、手術をします。そのため、小さな傷から大きな粉瘤をとることが出来ます。
生検用パンチで粉瘤の開口部から腫瘍にアプローチを行い、粉瘤の中身を取り出します。中身は主に皮膚の老廃物です。
中身を除去することにより腫瘍自体が小さくなるため、小さな創部から腫瘍を取り出します。その結果、小さな傷から腫瘍が摘出出来ます。傷も目立ちにくくなります。
しかし、手術自体は難しくなるため、再発のリスクが上がってしまいます。
主に顔などの人目につく部位や炎症が何度も起こっていない部位で適応になります。
何度も炎症を繰り返している症例でも手術は可能ですが、粉瘤の原因の範囲が広がってしまったり、瘢痕で硬く、ケロイドになっている場合には切開法の方がよいこともあります。
切開法
- 切開法を極端に嫌がる患者様もいらっしゃいますが、切開法もとても良い手術法ですし、炎症を何度も繰り返したり、再発を繰り返している症例には適応になります。
特に鼠径部や耳の裏、腋窩、臀部の炎症を繰り返している症例ではよく使用する方法です。
女性の股の部分、耳の裏、腋窩では分泌腺自体が多くなり、一部を切除するだけでは繰り返す場合が多くなってしまいます。そのため、出来るだけしっかりと原因の部分を切除し、今後、炎症が繰り返さないようにすることが必要になります。
炎症を繰り返すと、皮膚が肥厚し、分泌腺から老廃物の排出が難しくなるため、更に炎症を繰り返してしまうこともあります。いわゆる炎症のスパイラルが起こります。
そうなると耳周囲の皮膚全体を切除したり、股の広い範囲を切除することになり、傷痕も残しやすくなります。
形成外科専門医 古林玄
頭にできた粉瘤の治療 外毛根鞘性嚢腫/くり抜き法
今回は東京院の症例です。
頭部に粉瘤ができ、大きくなり過ぎて一部ハゲができてしまっています。腫瘍事態が毛根に影響を与えてしまい、毛根が死滅しています。腫瘍切除する事で一部の毛根から毛が生えることはありますが、長い期間が経ってしまうとハゲになってしまいます。
更に炎症が起こってしまうと、毛根は更に死滅してしまい、禿髪の範囲が広がります。炎症の程度や期間によって毛根が残るかは変わってきますが、炎症前の切除が非常に大事になります。
今回はハゲてしまっている部位の切除を行いました。更に小さな傷から腫瘍切除は可能でしたが、術後に毛髪のない部位が残ってしまうので、大きく切除しています。
切除した組織です。袋の中身は水分も含まれており、一部漏れ出てしまっていますが、皮膜を丸ごと摘出しています。
腫瘍は4cm大であったため、腫瘍切除部位には死腔という空洞が出来てしまいます。術後に血腫が溜まってしまう可能性もあるため、16Gサーフロー(点滴用に使用する管)を挿入し、創部は圧迫します。
基本的には毛に隠れて術後から傷はそんなにも目立ちません。
術後は1ヶ月から3ヶ月で創部周囲の毛髪も生えてくるため、更に傷は気にならなくなります。
また炎症が起こっている症例では炎症により毛根が死滅してしまっているが、手術時には毛髪だけが残っている場合もあるため、術後から毛がない部位も出てきてしまうことがあります。術後に創部がハゲてしまった場合には再度毛髪のない部位を切除することによりハゲをなくすこともできます。あまりにも毛のない範囲が広い場合には植毛になることもあります。少なくとも術後3ヶ月は様子を診てから手術を考慮するべきだと考えます。
形成外科専門医 古林玄
炎症性の粉瘤治療について専門医が徹底解説
背部の炎症性粉瘤です。
この症例では既に皮膚の破壊が起こり中身が出てきてしまっています。
カラダは自分の中に異物があると何とかそれを除去しようと、異物反応を起こします。感染によって炎症が起こっていると考える先生が多数ですが、実は異物反応がほとんどだと言われています。
粉瘤は言い方は少し悪くなりますが、ゴミが綺麗なゴミ袋に包まれている状態です。粉瘤のある部位がどこかにぶつかったりして、ゴミ袋が破れると、カラダの中にゴミが撒き散らされます。その時にカラダは汚いもの皮膚の中にあるので、びっくりして異物を除去しようとします。それが異物反応です。その際に炎症を起こし、皮膚に穴を開け、ゴミを排除しようとします。皮膚に穴を開け、膿を出し終わると一度は炎症はおさまりますが、まだゴミ袋は残った状態なので再度大きくなってきます。炎症のせいで痛みを伴い、色素沈着を残し、傷跡も大きく残ってしまいます。
また更に問題なのは炎症で皮膚に穴が開いた場合に、粉瘤の原因となっている開口部とは全然違う部位に穴が開いてしまうという点です。ほとんどの場合でこれがズレてしまっているため、炎症のある部位からゴミ袋を除去すると原因が除去できずに再発してしまいます。
これは実は形成外科専門医でも分かっている先生が少ないために、炎症の際に手術をすると再発しやすいと言う問題が起こってしまいます。
手術の際によく確認すれば開口部が見つかるので注意深く検索する必要があります。ただそれでも開口部が見つからない場合もあります。
今回の症例では青線の部位が実は開口部になります。
富士山で例えると頂上から噴火せずに、横から噴火した状態です。
歴史的にも必ずしも頂上ばかりから噴火するわけではないみたいですね。
話はズレてしまいましたが、炎症すると痛み、再発、傷跡のリスクが上がってしまうので、炎症する前に対応することが大事です。
また炎症しても抗生剤はほとんど効かないことが多いので出来るだけ早く手術で対応する方が炎症を早く治めることができ、痛みは早く改善し、傷跡も小さくできます。
基本的には切開排膿を勧めるドクターが多いですが、中のゴミやゴミ袋が取りきれてないため、なかなか炎症は治りません。ドクターが忙しいせいもあって、切開排膿のみで済ませてしまうこともあります。そして切開排膿のみの場合は毎日、外来に通院して激痛の外来処置が待っており、地獄の日々が続きます。
当院では出来るだけ炎症が起こっている場合には当日手術で対応させて頂いています。手術した日から炎症は治り、抜糸までは特に外来通院は必要ありません。血腫などの合併症はありますがその都度対応させて頂きます。
痛くなったらお早めに相談して下さい。
今回の症例の術後写真です。
炎症後のため、綺麗ではありませんが、中に血腫ができると感染の可能性もあるため、傷は軽く寄せておくくらいに留めています。感染が強い場合には創部を開けたままの場合もあります。
炎症している傷は炎症していない症例に比べ治癒が遅れますので、お風呂はガーゼに滲出液が付かなくなってからになります。約1週間から3週間掛かりますがシャワーは手術当日から可能です。
形成外科専門医 古林玄
背部にできた脂肪腫の治療について専門医が徹底解説
本日の症例は背部の12cm大の脂肪腫です。
かなり大きな腫瘍ですがMRI撮影を行い、良性の脂肪腫と判断したため、切除を行いました。
脂肪腫は大きいもの(6cm以上)では悪性腫瘍の可能性もあるため、十分に精査をする必要があります。
出来るだけ早く切除し、精査する必要があるのでお早めにご相談ください。
今回の症例では簡単に切除することが出来ましたが、骨の下にある場合や、後頸部、マッサージをよくしている患者さんは、組織が破壊され、色々な部分と癒着します。
そのため、非常に切除が難しくなり、血腫などが出来る可能性も上がります。
見つけた際には出来るだけ触らず、受診をお願いします。
形成外科専門医 古林玄
粉瘤についての動画をUPしました/専門医の解説付き
粉瘤について動画をYouTube に投稿しました。
粉瘤は皮膚の中に老廃物が溜まることにより、徐々に大きくなります。粉瘤は何かの拍子に感染や異物反応が起こり、大きな炎症を起こします。炎症が起こると、激しい痛みを伴い、日常生活に支障をきたします。一度治っても、再度炎症を繰り返すため、出来るだけ早く切除する必要があります。
炎症を繰り返す事で創部は色素沈着を残し、傷跡も目立ってしまいます。出来るだけ炎症が起きる前の手術をオススメします。
当院では炎症が起きていても出来るだけ早く手術する方が良いと考えていますので当日手術を行っています。
今までの治療では炎症している症例では切開のみを加え、毎日外来での洗浄処置を行っていましたが、痛みも伴い2−3週間、辛い毎日を送ることになります。切開のみでは内部に老廃物や皮膜が残ってしまい、カラダは炎症をおさめてくれません。切開のみではなく、内容物を完全に除去することで炎症を早く静め、痛みからの解放が早くなります。また炎症が長く続く事で、色素沈着が強く残ったり、傷跡も残りやすくなるます。当院では炎症でもくりぬき法を行っていますのでお気軽にご相談ください。
形成外科専門医 古林玄
お尻の毛巣洞の治療について専門医が徹底解説
臀部の毛巣洞の写真です。ペンで書いてしまっているので分かりにくくなってしまっていますが、肛門の上から頭側に掛けて炎症が広がっています。
毛巣洞は肛門の頭側の皮膚に生じる事が多いです。体毛が濃い、多毛、長時間の座位により、体毛が皮膚に刺さり、出来ると考えられています。また脇などの毛の多い部位などにも生じます。感染すると炎症が起こり、痛みが出たり、膿が出てきます。そのため痔瘻や化膿した皮膚腫瘍、粉瘤とも間違えられることがあります。意外にも毛巣洞を知らない先生も多いため、毛巣洞の原因の部位に気づかず、頭側の膿を排出している皮膚だけを外科的切除することもありますが、確実に再発してきます。
炎症を繰り返すことにより、皮膚の中にばい菌の巣のようなものが出来てしまい、定期的に腫れ、座る事も難しくなります。炎症によりどんどん広がり切除も困難になるため、早めの切除が非常に重要になります。
今回の症例は毛巣洞により何度も腫れを繰り返し、皮膚の中で腫瘍が広がり、4か所で腫れを繰り返し、膿を排出しています。手術により原因の毛巣洞を切除し、膿を排出する皮膚とばい菌の巣を同時に摘出しています。今回は皮弁を小さく作製し、創部の閉創を行っています。小さい状態であればそのまま閉創できる事が多いですが、大きい場合にはやはり皮弁による手術が必要になることもあります。大きいものは入院が必要になる場合もあります。
毛髪が多かったり、濃い場合に出来やすいため、繰り返す場合には脱毛により予防をすることもあります。
形成外科専門医 古林玄