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2021.10.31

粉瘤(しこり、できもの)は痛い?

粉瘤は痛いかどうか聞かれることが多いですが、粉瘤が痛いときは炎症をしている時です。

粉瘤

粉瘤は炎症していない時には特に痛みがありません。しかし、内部で袋が破れたり、感染したりすると炎症が起きます。

炎症はカラダを守るための大事な免疫システムですが、過剰に働くとカラダにとってマイナスに働くことがあります。

炎症が起きると免疫システムとしてヒスタミンやプロスタグランジンなどの化学伝達物質を放出します。これにより痛みと痒みが起こります。同時に毛細血管も拡張し、赤みを生み、血管透過性が増大することで毛細血管から血漿が漏れだし、腫れてきます。

炎症が悪化すると皮膚組織の破壊が起こり、皮膚に壊死が起こります。こうなると皮膚に穴が開いてしまいます。穴があることで内容物が出て、炎症が少し治まりますが、大きな傷が出来てしまい、傷跡が残ってしまいます。

炎症した粉瘤

出来るだけ炎症が起きる前に腫瘍を取り除く事が大事になります。

 

基本的に炎症は血流のある腫瘍では起こりませんが、粉瘤や石灰化上皮腫、外毛根鞘性嚢腫、脂腺嚢腫などの内部に血流を持たない腫瘍(しこり、できもの)は炎症が起こってしまいます。

炎症が起こらないようにするためには、出来るだけ、腫瘍を触らない事!! 袋が壊れることで、カラダは異変に気付き、免疫システム、つまり炎症を起こし始めてしまいます。

 

形成外科専門医

古林玄