今回の症例は肩の大きな粉瘤です。約10㎝大の粉瘤になります。動画も下に載せています。
くり抜き法でも手術は可能かもしれませんが、余剰皮膚が出そうな症例でしたので切開法による手術を選択しました。
腫瘍上に紡錘形に切開ラインをデザインします。
局所麻酔を注射し、メスで切開を行います。局所麻酔には麻酔薬による痛みを軽減するためにメイロンを混ぜています。これについてはまたどこかでブログに載せます。
腫瘍に切開を加え、腫瘍の周囲を丁寧に剥離を行います。
腫瘍は皮膜ぎりぎりで剥離を行うことで出血を抑えることができます。また、組織をうまく剥離できれば、指だけで腫瘍を切除できます。
今回は膜の非常に薄い部位があり、圧力がかかり、一部破れてしまいました。無念。
ただ、正直なところ、皮膜を破らずに取るか取らないかは形成外科医のエゴです。
膜を破らずに取れと、若い時は上級医に教わりましたが、全くその必要はありません。
膜を破り、小さくなったところを切除する方が遥かに腫瘍は容易に切除できます。今回でも内容物が出てから容易に裏面を剥離することが出来ました。
腫瘍が大きいままだと、小さな切開では裏面の剥離が非常に困難になってしまいます。
もちろん、内容物が内部に漏れてしまうと炎症のリスクがあるので、内容物が漏れた場合にはしっかりと洗浄する必要があります。
摘出された腫瘍です。綺麗には取れませんでしたが、再発のないようにしっかりと腫瘍の切除を行い、創部を洗浄しています。
創部に16Gドレーンを挿入し、閉創します。
監修:形成外科専門医 古林玄