今回は東京院の症例です。
頭部に粉瘤ができ、大きくなり過ぎて一部ハゲができてしまっています。腫瘍事態が毛根に影響を与えてしまい、毛根が死滅しています。腫瘍切除する事で一部の毛根から毛が生えることはありますが、長い期間が経ってしまうとハゲになってしまいます。
更に炎症が起こってしまうと、毛根は更に死滅してしまい、禿髪の範囲が広がります。炎症の程度や期間によって毛根が残るかは変わってきますが、炎症前の切除が非常に大事になります。
今回はハゲてしまっている部位の切除を行いました。更に小さな傷から腫瘍切除は可能でしたが、術後に毛髪のない部位が残ってしまうので、大きく切除しています。
切除した組織です。袋の中身は水分も含まれており、一部漏れ出てしまっていますが、皮膜を丸ごと摘出しています。
腫瘍は4cm大であったため、腫瘍切除部位には死腔という空洞が出来てしまいます。術後に血腫が溜まってしまう可能性もあるため、16Gサーフロー(点滴用に使用する管)を挿入し、創部は圧迫します。
基本的には毛に隠れて術後から傷はそんなにも目立ちません。
術後は1ヶ月から3ヶ月で創部周囲の毛髪も生えてくるため、更に傷は気にならなくなります。
また炎症が起こっている症例では炎症により毛根が死滅してしまっているが、手術時には毛髪だけが残っている場合もあるため、術後から毛がない部位も出てきてしまうことがあります。術後に創部がハゲてしまった場合には再度毛髪のない部位を切除することによりハゲをなくすこともできます。あまりにも毛のない範囲が広い場合には植毛になることもあります。少なくとも術後3ヶ月は様子を診てから手術を考慮するべきだと考えます。
形成外科専門医 古林玄