粉瘤の臭いについて専門医が徹底解説

できものから独特なキツイ臭いがする…
ニキビだと思って潰していたけど、同じ場所に何度もできるし、どうにかしたい!

このようなお悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?

もしかしたら、それはニキビではなく粉瘤かもしれません。
粉瘤の場合、炎症などのリスクがあり、根治には医療機関での受信が必要不可欠/span>になります。

そこでこの記事では、臭いを発する粉瘤についての解説から、ニキビなどの他のできものとの違いについて詳しく解説しています。
わかりやすくまとめていますので、是非参考にしてください。

粉瘤は他のできものとは違います

粉瘤が、ニキビなどの他のできものと何が違うのか、よくわかりませんよね?
そこでまずは粉瘤について解説していきます。

粉瘤とは、表皮嚢腫とも呼ばれる良性の腫瘍のことを指します。
皮膚の下に袋状の組織ができ、そこに皮膚や角質といった老廃物がどんどん溜まっていくことで肥大化していきます。
できた当初はニキビのように目立たない粉瘤ですが、大きくなると直径10㎝を超えるものになることもあります。

粉瘤はニキビとは異なり、未だに発症する原因がはっきりと解明されていません。
皮膚のターンオーバーで本来剥がれ落ちるはずだった古い角質や皮膚などが、傷口や毛穴から入り込むことで出来るといわれています。

粉瘤の臭いについて

粉瘤はとても強い独特な臭いを発します。
それ何日も履き続けた靴下、タンパク質の腐敗臭などに例えられるほどです。

前述した通り粉瘤の袋状の組織の中には、老廃物が溜まっています。
これらが押し出されて表面に出てきた時、また炎症が起こっている場合は老廃物が出ていなくても臭いを発する場合があります。

ニキビはこうした臭いの強い内容物が出てくることはありませんので、この臭いでも粉瘤と見分けることが出来ます。

臭いの原因

粉瘤がとても強い独特な臭いを発する原因は2つあります。
それは「内部の老廃物自体の臭い」「細菌が代謝して分泌する成分の臭気」であると考えられています。

原因1:老廃物自体の臭い

垢や皮脂などの老廃物が皮膚の下に長い期間とどまっているため、これにより悪臭を発します。

原因2:細菌が代謝の過程で発する物質

粉瘤が炎症を起こすと嫌気性菌のプロプリオバクテリウムが増殖して、悪臭を放るプロピオン酸を生産します。
この場合、内容物が表に出なくても、皮膚にある小さな開口部から臭いが漏れて悪臭を発生させます。

粉瘤は炎症を起こすと悪臭を生じるリスクが高くなります。

粉瘤は放置してはいけない

粉瘤の成長段階

ここまで粉瘤の臭いについて解説してきました。
この異臭を放つ粉瘤がどの成長段階にいるのでしょうか?

1:定常期

炎症や腫脹、痛みが無く、症状が落ち着いている状態です。

2:炎症期

軽度の炎症が起きている状態で、我慢できる程度の痛みが出ます。
できもののような粉瘤の状態で、ぶよぶよとした膿はほぼありません。

3:感染・膨脹期

炎症が更に増し、触ると痛みが生じる状態です。
袋の中にはぶよぶよとした液体の膿があり、確認できます。

4:破裂期

袋の中に膿が溜まり過ぎて、破裂した状態です。
袋の中にあったドロドロとした膿が外に出ています。

5:治癒期

膿を出し切ったあとで、炎症や腫れが無くなっている状態です。
放置をすれば粉瘤が再発する可能性があり、そうすると定常期に戻りグルグルとサイクルを繰り返します。

このように独特の異臭を放つ場合、粉瘤の成長が進行していることになります。

粉瘤の成長段階

結論からいうと、粉瘤は自然には治りません。
いつか治ると粉瘤を放置してしまうと、臭いだけでなく、患部の腫れや感じる痛みが強くなり、袋が破裂する恐れがあります。

一時的に膿が出たとしても、粉瘤は袋状の組織を摘出しない限り再発する可能性があります。
これを繰り返すうちに化膿して、色素沈着などで綺麗に治すことが難しくなるケースもあります。

粉瘤は自分で潰してもいい?

粉瘤を自身で無理矢理潰すなどの圧迫を加えることは、とてもリスクが高い行為です。
細菌が入り込みやすくなり、感染してしまうこともあります。
感染すると粉瘤の症状がさらに悪化する恐れがあるため、ご自身で潰すことは避けてください。
粉瘤を重症化させないためにも、触れずにできるだけ早く受診するようにしてください。

炎症のある粉瘤の治療は専門のクリニックへ

当院では、できるだけ綺麗に治すことを重視して粉瘤の治療を行っています。
主にくりぬき法という手法を用いるようにしており、それ以外の場合にも形成外科専門医としての知識や経験をいかした丁寧な手術を行っています。

炎症が強く膿が多い場合には、皮膚を小さく切開して膿を取り出して綺麗にする排膿処置を行い、炎症が引いてから改めて粉瘤の手術を行うこともあります。
なお、粉瘤の手術は、基本的に入院の必要のない日帰り手術を行っています。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。