粉瘤は治らないことについて専門医が徹底解説

粉瘤はクリニックでの治療が必須で、自然に治ることはありません。

しかし、この粉瘤はニキビと似ていて勘違いして放置してしまう方がいらっしゃいます。

この記事では、粉瘤がどういうものなのか?治療方法や原因も含めてわかりやすく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。

粉瘤について

粉瘤について粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に垢や皮脂などの老廃物がたまってできる良性腫瘍です。

粉瘤は自然には治らない!

粉瘤は自然に治ることはありません、根治にはクリニックでの手術が必要になります。
「粉瘤は手術が必要」と言われても、粉瘤の見分け方や放置した時の影響、原因などが分からないと、粉瘤への意識は持ちづらいと思います。

そこでここでは、粉瘤の怖さや原因などを解説していきます。

粉瘤は放置してはいけない

粉瘤について粉瘤ははじめは目立たない小さなしこりやニキビの様なものです。
しかし、袋状の組織に老廃物が溜まることで肥大化し、直径10㎝を超えるものもあります。
この皮膚の下にある袋状の組織を外科手術で摘出しなければ粉瘤は根治することはなく、再発を繰り返す可能性があるのです。
皮膚を隆起させるほどの粉瘤ができると、腐敗した魚のような臭いを発するようになったり、細菌などの感染により炎症を引き起こす可能性があります。

炎症を起こすと赤くなり、痛みがでます。
お尻だと座れない方や、脇だと手が挙げられなくなる方もいらっしゃいます。
炎症後は色素沈着が残ったり、傷が硬く、ケロイドになることもあります。

こういったリスクは炎症の期間や強さが影響するため、早めに膿を出したり、炎症を抑えることがよいでしょう。
また、粉瘤は良性の腫瘍ですが、ごく稀に癌化することもあります。
ですので、気になるできものがあれば、炎症が起こる前に早めに近くの病院にいらしてみてください。

粉瘤ができる原因

粉瘤の原因については、はっきりとした原因は未だに解明されていません。
粉瘤は毛穴の有無に関わらず、皮膚のどこにでもできる可能性があります。
皮膚のターンオーバーで本来剥がれ落ちるはずだった古い角質や皮膚などが、傷口や毛穴から入り込むことでできると考えられています。

そのため、汗や皮脂などの分泌物が多い体質の方や、暴飲暴食や不健康な食生活をしているホルモンバランスが崩れていたり分泌物が増えている方は、粉瘤が比較的できやすいのです。

粉瘤ができる原因

粉瘤は炎症を起こすと赤く腫れ、痛みを伴います。
これまで炎症の主な原因は細菌感染であるとされてきましたが、そうではないケースがアメリカなどの国々で報告されています。

粉瘤は皮膚に袋状の組織ができ、中に老廃物がたまった良性腫瘍です。
この袋に圧力が加わることで潰れ、老廃物が皮膚内部に広がり、それが原因で炎症反応が起こるケースです。

このタイプの炎症は細菌感染が原因のものよりも多いことが分かってきました。
細菌感染が原因でない場合、抗生物質などを使ってもあまり意味がありません。
そのため、こういったケースでは速やかに手術する必要があります。
もちろん、細菌感染を合併している場合もあるため、抗生物質を処方することもあります。

粉瘤の治療方法

これまでに説明した通り、粉瘤は病院での治療が必要です。
粉瘤の治療は、粉瘤を構成する袋状の組織を摘出する必要があります。

当院での「くりぬき法」と「切開法」という2種類の手術方法を用いています。

くりぬき法

特殊な器具を用いて皮膚に素早く小さな穴を開けて、そこから粉瘤の内容物を絞り出し、その後しぼんだ袋状の組織を引き抜く方法です。
手術時間は5分~20分と短時間で施術が可能で、患者様の負担も少ない方法です。

切開法

粉瘤直上の皮膚を切開し、粉瘤をまるごと摘出する手術法です。
再発する可能性が低いため、患者様の状態によっては切開法を選択する場合があります。

粉瘤の対処法

粉瘤はニキビやふきでもの同様一般的な良性腫瘍です。ただし、ニキビやふきでものなどと違い、粉瘤は手術を行わない限り根治できません。
放置していると徐々に粉瘤は大きくなり、ニキビのように潰してしまうと炎症のリスクを高めることになるのです。

粉瘤は大きくなると綺麗に治療することが難しくなります。
ですので、皮膚にしこりのようなものができたら、速やかに受診し、粉瘤であった場合には可能限り早く摘出手術を行うことをおすすめします。

粉瘤の予防法

粉瘤に限らずあらゆる病気やトラブルを防ぐためには生活習慣の改善が必須です。
粉瘤ができやすい体質の方やそうでない方も、日頃の生活習慣を見直してみてください。

スキンケア

脂性肌の方や、日頃運動など大量に汗をかく方、現在であれば外でマスクを着けて家に帰宅した時に、洗顔やシャワーを浴びるなど常に肌を清潔に保つことが重要です。
また怪我などがある場合も、絆創膏などで保護してあげると良いでしょう。

食生活

唐揚げをを食べ続けるなど、偏った食事をしていると、皮膚分泌が増えたり、コントロールする栄養素が不足する可能性があります。ですので、バランスの取れた食事をすることが大切です。

健康的な生活

夜更かしによる睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスの崩れや皮膚のターンオーバーのサイクルを乱すことに繋がります。

当院の特徴

特徴1:入院が不要!日帰り手術に対応

当院では、たとえ炎症性の粉瘤であっても基本的に日帰り手術が可能です。
事前の診療で粉瘤の大きさや数、炎症の有無などを確認し、日帰り手術が可能か否かを慎重に判断します。

患者様の日常生活になるべく影響がないように「日帰り手術
」にこだわっています。
手術に全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の疑いがある場合などは提携している大学病院などをご紹介させていただき、安心で円滑な治療を心掛けています。

特徴2:痛みを軽減させる手術

手術の際は局所麻酔を用いて痛みを軽減させます。
局所麻酔を注射する際も、極細の針を使用し薬剤の配合も工夫するなど痛みを軽減する配慮を行っています。

痛みが苦手な方はお気軽にご相談ください。
個別の対応も可能ですので、痛みを軽減するための様々なご提案を行います。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。