身どこにでもできる可能性のある粉瘤ですが、顔にできてしまった時ほどショックなことはありません。
体幹など、衣服で隠れるところにできた場合であれば、痛みがない限りさほど気になることはないかもしれません。
しかし、顔はいくらマスクで隠れるとはいえ、食事をしたり飲み物を飲んだりする際には外さなければならないため、痛みがなかったとしても気になるもの。
『来月デートの予定があるのにほっぺたに粉瘤ができてしまった…』
『接客の仕事をしているのにおでこに粉瘤ができて目立ってしまう…』
『薬やスキンケアで治らないのかな…』
このような不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あとで詳しく解説しますが、粉瘤は自然治癒することはほぼないため、専門的な治療が必要となります。
また、お薬を飲んだり清潔を保ったりすることで症状を落ち着かせることはできますが、その効果は一定ではありません。
今回は、顔にできた粉瘤の治療方法やその費用、気になる傷跡について解説します。
このページで分かること
・顔にできた粉瘤の治療方法
・顔にできた粉瘤にかかる治療費用
・顔に粉瘤ができてしまった場合に気をつけること
顔にできた粉瘤の治療方法
では粉瘤ができてしまった場合どうすればよいのでしょうか。
放置していても治らない
そもそも粉瘤の原因は、ウイルス感染や外傷後などに起こると考えられていますが、実ははっきりとしないことがほとんどです。
何らかの理由によって、皮膚に袋状の組織ができ、その中に皮脂や垢などの老廃物が溜まってできた良性の腫瘍です。
そして残念ながら、粉瘤はできた場所にかかわらず、放置していても自然治癒することはありません。
それどころか、放置していると炎症を引き起こしたり、痛みが出たり、粉瘤特有の臭いを発したりとデメリットの方が多くあるため、早めに専門の医療機関を受診することをおすすめします。
顔にできた粉瘤の根本的治療は手術法のみ
とはいえ、顔に粉瘤ができてしまった場合、どうしても目立ってしまうため早く治したいですよね。
しかし、早く治したいからといって市販の薬を塗ったり、ニキビみたいに自分で潰したりしても治ることはありません。
なぜなら、腫瘍の原因である袋状の組織自体を除去しなければ、何回でも再発してしまうからです。
したがって、粉瘤の根本的な治療は”手術による外科的治療のみ”ということになります。
切開法とくり抜き法
粉瘤の手術方法は2種類あります。いずれも手術の所要時間は20分以内です。
■切開法
粉瘤がある真上の皮膚を切開し、袋状の組織をそのまま取り出せる手術方法です。
再発の可能性が低いというメリットがある一方で、切開する範囲が広いため、傷が残りやすいというデメリットがあります。
■くり抜き法
粉瘤の真ん中にある”ヘソ”といわれる部分をわずか4〜5mmほど丸く切開し、そこから粉瘤の内容物と袋状の組織を取り出す手術方法です。粉瘤の内容物や袋状の組織を取り出す穴が小さいため場合によっては袋が残ってしまい、再発する可能性はありますが、傷が残りにくいというメリットがあります。
顔にできた粉瘤を治療する場合は、このくり抜き法を選択する場合が多いです。
顔にできた粉瘤を切除したあとの傷跡について
顔にできた粉瘤を治療する際に、最も気になるのは手術の傷跡ではないでしょうか。
結論からいうと、よほど大きな粉瘤ではない限り、目立つような傷が残ることはありません。
たとえ切開法を用いたとしても、当院では皮膚をデザインしてから切開するため、縫合する際に皮膚にシワができにくく、傷跡が目立ちにくいように配慮しております。
どちらの手術法でも術後1ヶ月程度で傷が目立たなくなり、3〜6ヶ月経過するとさらに目立たなくなります。
顔にできた粉瘤にかかる治療費用
粉瘤の治療にかかる費用は、粉瘤の大きさとできた場所によって異なります。
顔にできた粉瘤の場合は”露出部”になるため”非露出部”にできた粉瘤の治療費と比べると高くなります。
しかし、できた粉瘤自体が比較的小さい(4cm未満)ことが多いため、健康保険料の負担割合が1割の方であれば手術費・診察料・検査費・病理検査費あわせて9,000円程度で治療が受けられます。
顔に粉瘤ができてしまった場合
清潔にすることは良いが、粉瘤を触りすぎると悪化する可能性がある
粉瘤は原因がはっきりしないため予防することはできませんが、できてしまった場合は炎症や痛みが出ないよう注意が必要です。
粉瘤ができた場所を洗顔や保湿クリームなど塗り、清潔を保つことは大切ですが、何度も洗顔したり、気になって触ったりすることは控えてください。
なぜなら、粉瘤に刺激が加わることで、肌に悪影響を及ぼし炎症や痛みを引き起こす原因になるからです。
マスクの取り扱いには注意が必要
コロナ禍で、マスクを着用する機会が増えたことで肌トラブルを起こす人が増えてきています。
一見、マスクをすると吐息でマスク内が潤い、肌に良いと思われがちですが、実は逆効果です。
マスクを外すと一気に肌の水分が奪われるため、肌の乾燥を引き起こし、肌荒れの原因になります。
また、マスク内が蒸れた状態がつづくことで、ニキビの原因であるアクネ菌が増殖しニキビを悪化させる要因にもなります。
そして、マスクが粉瘤にとっても悪影響を及ぼす可能性があります。
マスクを着用する部分に粉瘤ができてしまった場合、粉瘤を悪化させかねないため、こまめに汗をやさしく拭き取ったり、自宅では外して過ごしたりするなど粉瘤を刺激せず、悪化させない対策が必要です。
このページのまとめ
今回の内容をまとめると
■顔にできた粉瘤は他の部位にできた粉瘤と同じように、放置していても治らない。
それどころか放っておくと炎症や痛みが出ることがあるため早めに受診することが望ましい。
■顔にできた粉瘤の根本的な治療は手術による外科的治療のみ。
その手術方法は再発の可能性は低いが、傷跡が残りやすい切開法と再発の可能性はあるが、傷跡が残りにくいくり抜き法の2種類ある。
■顔にできた粉瘤の手術による傷跡は、よほど大きな粉瘤でないかぎり、3〜6ヶ月程度でほとんど目立たなくなる。
■顔にできた粉瘤の治療費は、健康保険料の負担割合が1割の方であれば手術費・診察料・検査費・病理検査費あわせて9,000円程度で治療が受けられる。
■顔に粉瘤ができてしまった場合、清潔を保つことは大切だが、刺激しすぎると炎症や痛みが出ることがあるため注意が必要。
■マスクを着用する部分に粉瘤ができた場合は、悪化させないよう、こまめに汗を拭き取ったり、マスクが必要ない場面ではマスクを外して過ごすなどの対策が必要。
顔に粉瘤ができてしまった場合、どうしても目立ってしまうため早くどうにかしたい気持ちは十分に分かります。
しかし、焦って自分で治そうとしたり、化粧で隠そうとしたりすると、悪化する可能性が高いため、早めに専門の医療機関にかかることをおすすめします。
顔に粉瘤ができて不安な方や、手術に対する抵抗があってなかなか治療に踏み出せないという方もたくさんいらっしゃると思います。
当院では、患者さまの気持ちに寄り添った治療を第一に掲げて診療を行っていますので、ぜひ気軽にご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。