胸のできものは粉瘤?認知度10%の疾患『粉瘤』について解説!

胸にできたできものでお悩みですか?
肌の露出が増える夏場や、結婚式などでドレス着用を控えている場合は、特に気になってしまいますよね?
もしかしたら、その胸にできたできものは粉瘤かもしれません。
粉瘤は自然に治ることがないため、粉瘤だと気付いたら早めの治療が必要な疾患です。

この記事では、胸にできたできものが粉瘤かどうか判別するための特徴や類似疾患、治療方法について詳しく解説していますので是非最後まで御覧ください。

粉瘤について

粉瘤(ふんりゅう)とは、垢や皮脂などの老廃物が皮膚の内部にたまってしまうことでできる、良性の腫瘍のことです。
皮膚が盛り上がり、中央に開口部と呼ばれる黒い点のようなものがあります。

粉瘤の特徴

粉瘤には以下の特徴があります。

・米粒大程度の大きさから10センチまで巨大化することがある
・粉瘤が潰れたした時は不快な臭いがすることがある
・自然治癒することはないため、手術が必要。

粉瘤の原因

何らかの原因で皮膚の垢が皮膚の内側に蓄積してしまい、角質物質の周りの皮膚が皮膚の下で袋状に発達することで起きる疾患であることは判明しておりますが、根本的な原因はわかっておりません。
しかし、そもそも皮脂腺が多い体質の場合は粉瘤が発生しやすいとされています。

粉瘤に似た疾患

粉瘤であるにも関わらず単なるできものとして考え、特に気にしないまま放置してしまうケースがあります。
放置した結果、炎症や化膿が起きてしまい病院に駆け込む患者様が少なくありません。
下記では類似疾患の特徴を説明しておりますので是非チェックしてみてください。

ニキビ

ニキビは毛穴の炎症のことを指し、様々な色の疾患として皮膚表面にできます。
毛穴に皮脂が詰まった白ニキビから、皮脂が酸化すると黒ニキビとなり、皮脂によりアクネ菌が繁殖すると赤ニキビとなります。

粉瘤とニキビの判別方法としては、表面の色や中央の黒点の有無、臭いなどが挙げあられます。

脂肪腫

脂腺腫とは、全身に正常皮膚色から淡黄色あるいは淡青色調の半球状に隆起した疾患のことです。
粉瘤と脂肪腫は、体中どこにでもできる点の他に、しこりのような見た目や自然消滅しない良性腫瘍という共通点が多いため判別が難しい疾患とされています。

しかし、粉瘤は触れると弾力のある硬さを感じことに対して、脂肪腫はゴムのようなやわらかさを感じるという違いがあるため、触感で判別することができます。

何科で受診すればいい?

前述した通り、粉瘤には似たような疾患があるにも関わらず、放置していても治癒せずに悪化するという悪質な特徴があります。
そのため、胸にできたできものが粉瘤かどうか、少しでも心配を覚えた方は早めに受診することをおすすめいたします。
実際に受診する科としては、皮膚科と形成外科の2パターンがあります。

皮膚科は皮膚疾患全般の知識が深いですが、手術経験が少ない場合があります。
一方で形成外科は手術経験が豊富で、傷跡を目立たなくすることができます。

そのため、粉瘤かニキビかを知りたいケースや、傷跡が多少残ってもあまり気にならない場合には皮膚科への受診が適しておりますが、日帰りで手術を受けたい場合には形成外科への受診が適しています。

皮膚科と形成外科のどちらを受診するかで迷う場合は、ご自身に適した判断をするために、これらの特徴を知ることが重要となってきます。

手術方法

自分の胸にできたできものが粉瘤だと判明した場合は摘出手術を検討する必要があります。
ここでは代表的な摘出手術を2種類ご紹介いたします。

くり抜き法

トレパンなどの特殊な器具を用いて皮膚に素早く小さな穴をあけます。
そこから粉瘤の内容物を絞り出し、その後しぼんだ袋状の組織を引き抜きます。

老廃物と袋状の組織を摘出した後、傷跡が残らないように縫合を行います。
手術時間も短いため、患者様の負担が少ないのが特徴です。手術時間は5分~20分程度と短いです。

切開法

粉瘤直上の皮膚を切開し、粉瘤をまるごと摘出するシンプルな手術法です。
中身を摘出した時に膨らんでいた分の皮膚が余ってしまうことを防ぐため、楕円のような形に切開します。

再発する可能性が低いため、患者様の状態によっては切開法を選択する場合があります。しかし、綺麗に縫合すれば時間が経つにつれて傷跡も目立たなくなるのでご安心下さい。

手術後の注意点

摘出手術を行った後、患者様の体質や環境によってはケロイドや肥厚性瘢痕の副反応が起きる場合があります。
ケロイドとは、傷あとが大きく盛り上がったものです。少しずつ拡大してゆくのが特徴とされており、大きくならないものは肥厚性瘢痕と呼ばれています。

ケロイドは痛みや痒みなどの症状が伴います。
そのため、ケロイドが生じた場合には、その症状にあわせた治療が行われます。
具体的には、傷跡へのステロイド局所注射や抗アレルギー薬の内服などが挙げられます。

クリニックによっては、この副反応を懸念して摘出手術をすぐに行わずに様子を見る診断結果を出す場合もあります。他院での診断結果でご不安な方は、お気軽にご相談下さい。

まとめ

粉瘤は自然完治しないので、根本解決には摘出手術が必要です。
手術時の痛みについては、局所麻酔を用いて軽減させますので、ご安心下さい。

粉瘤はニキビなどの類似疾患と勘違いしたまま放置していると少しずつ肥大化し、
とある拍子に炎症を起こしたり、合併症を引き起こしたりする可能性があります。

粉瘤かどうかわからない方や、粉瘤を摘出したいけど手術が不安な方でも、
早急に診断をすることがとても大切です。

当クリニックは、東京都新宿駅東口より徒歩5分のアクセスで、土日診療も対応可能です。
まずは気軽にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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