首にできた粉瘤の治療/日帰り
今回の粉瘤は頸部の4㎝大の粉瘤です。動画は下に載せています。
炎症もしており、少し取り辛いことを予想して手術を行います。
また頸部は大血管の走行している部位であり注意が必要です。
術前にしっかりとエコーで血流を確認し、腫瘍との位置関係を明確にします。
炎症も強いため、血管との癒着には注意が必要です。
そのため、腫瘍上に小さい切開を加えることで手術を開始しました。
内容物を取り出します。
被膜の剥離を行いますが、やはりかなり癒着が強く、切除が困難な状態になっていました。少しずつ癒着を剥離し、腫瘍を摘出します。
腫瘍を取った内部は大きな空洞(死腔)が出来るため、16Gサーフローを利用したドレーンを作成し、挿入します。血腫予防になります。
ドレーンは問題なければ翌日抜去します。自己抜去も可能です。
翌日ドレーンを抜去してからシャワーが可能になります。
創部は軟膏をしっかり塗布して、一週間後に抜糸となります。
袋はかなり破れてしまいましたが、残りの袋がないか、最後に確認しています。癒着が強かった証拠ですね。
形成外科専門医 古林玄
首にできた粉瘤治療について/くりぬき法
首の粉瘤提出について解説します。動画は下に載せておきますので苦手でなければ観てください。
今回は約1.5㎝程の粉瘤です。2年程前からしこりが首に触れていたようです。徐々に大きくなり当院へ来院されました。
今回の症例では炎症が過去に起こっていなかったため、非常に取りやすい状態でした。自分でいじってしまったり、ぶつけやすい部位に出来ると炎症が起こってしまうので注意が必要です。
炎症が起きる理由のほとんどは自分でいじったり、ぶつけたりすることで粉瘤の袋が破れ、異物反応を起こすことが挙げられます。炎症を起こすと、痛みが出て、色素沈着と瘢痕を残してしまいます。できるだけ袋を壊さないように生活することが大事なので早く取ってしまう事をお勧めします。
まずは局所麻酔をします。炎症していない症例では表面に少し打つだけで麻酔は効いてしまいます。
今回の症例でも少量ですがもう少し少なくても問題ないでしょう。
パンチを使用し、開口部を含めて切除します。炎症していると開口部が見つからない場合もあるので注意が必要です。
圧迫を行い、腫瘍の袋の中に溜まった老廃物を取り出します。
袋が小さくなったところで腫瘍の周囲を剥離し、腫瘍を摘出します。
症例により袋が柔らかかったり、丈夫に出来ていたりします。臀部などでは袋が分厚く硬いこともあり、炎症せずに大きくなることが多いです。
首は比較的柔らかく、壊れやすい膜になっています。また炎症すると袋の膜も壊れてしまい、非常に摘出するのが難しくなります。
今回は小さかったですし、炎症も起きていなかったため、簡単に腫瘍を摘出することが出来ました。大きくなったり、炎症が起きると切開法により手術をすることになり、傷跡も目立ちやすくなります。見つけた際には触らずに、大きくなる前に病院を受診することが大事になります。
しこりが気になり、皮膚科を受診して『気にしなくていいよ』と言われて放置した結果、炎症を起こした患者様が当院にも沢山来院されます。手術が苦手な先生や忙しい先生は切除してくれない事も非常に多いため、形成外科を受診することをお勧めします。
形成外科専門医 古林玄