脂肪腫

2021.04.04

【脂肪腫】粉瘤と間違えやすい腫瘍の症状/治療法

脂肪腫とは

軟部腫瘍の中では最も頻度の高い良性腫瘍です。主に背部、肩周囲などの上半身に発生する事が多いです。また前額部(おでこ)や頚部にも比較的多く見られます。

脇の脂肪腫

症状

疼痛や炎症もないため、症状は特にないことが多いです。しかし、四肢などに多発する血管脂肪腫(angiolipoma)の場合には圧痛を伴う事があります。長い経過で腫瘍が急速に増大する場合には悪性を疑う必要があります。

 

診断

触診では柔らかく、可動性があります。深さや場所によって変わりますが、硬い場合には脂肪肉腫(悪性)や線維腫などを疑います。

大きいサイズの脂肪腫ではCTまたはMRIによる検査を行い、腫瘍の性状、周囲組織との関係、皮膜の有無、悪性所見の有無などを調べます。筋肉内にある場合には手術は難しくなるため、全身麻酔での手術を疑う必要があります。またエコーも非常に有用な検査で、深さ、腫瘍周囲の血管の有無、腫瘍が血管豊富な腫瘍ではないかなどを調べることが出来ます。

背部脂肪腫 MRI

治療

手術による腫瘍摘出術が行われます。

術前にエコーや画像検査で手術の方針を決めます。基本的には大きさが10㎝未満、筋肉より上にある場合には、外来での手術が可能になります。筋肉内または下にある場合には出血が多く、痛みを伴う場合もあるため、入院での治療が必要になる場合があります。前額部にある場合には筋肉下にある場合がほとんどですが、ほとんどが外来での治療が可能です。また関節部位かそれ以外でも対応は変わるため、一概には決まってはいません。大きな脂肪腫の場合には悪性も考慮しなければならないため、術前に生検を行う場合もあります。

摘出した組織は病理検査に摘出します。

術後は血腫予防のため、創部にドレーンを挿入し、圧迫が必要になります。また運動や飲酒などの血流がよくなることも術後のトラブルになるため、控えて頂きます。

手術が難しくなったり、術後血腫が出来る場合の多くは、皮膚との可動性が悪く、腫瘍が周囲に癒着しているケースです。原因として考えられる事は、腫瘍が潰されたり、刺激を加えられることでの癒着が考えられます。場所で言うと、後頚部や背部、肩甲骨部位が比較的切除が難しくなる印象があります。就寝の際に枕や肩甲骨に潰されることで刺激が加わります。またマッサージをよくしているヒトも同様です。組織は潰されると、組織の破壊が起こり、その後には治癒が起こります。治癒は組織を瘢痕化させ、硬くします。その際に癒着が起こってしまいます。

前胸部や刺激の少ない部位は非常に手術がしやすく、小さい切開で腫瘍の切除が可能になります。見つけた際には触ったりマッサージをせずに早めの切除を心掛けましょう。

脂肪腫摘出

 

料金

手術は保険適応になります。

料金は大きさによって上下します。3㎝未満、3㎝から6㎝未満、6㎝以上に分けられます。

初診料、検査、手術を含め、大きさが6㎝以下だと、9000円から15000円ほどになります。腫瘍が6㎝を越えるものは17000円ほどになります。

また筋肉内または筋肉下だと軟部腫瘍扱いになり、軟部腫瘍摘出術となるため、30000円から40000円になります。

詳しくはお電話でご確認ください。

 

形成外科専門医 古林玄