顔面にできた粉瘤の治療 日帰り/くり抜き法
顔の粉瘤手術の紹介をします。動画も最後にありますので苦手でなければ観てください。
顔も比較的、粉瘤の出来やすい部位です。皮膚は頭の先から足の先まであり、人体最大の臓器ともいわれています。皮膚についてはまた今度、詳しく解説しますが、皮膚は垢を出したり、脂を出したり、汗を出したり、毛髪を生やしたりと、毎日たくさんの老廃物を出します。美容外科の高須先生は『皮膚は肛門です』と斬新なことをおっしゃっていましたが、私も本当にその通りだと思います。
皮膚自体は化粧水などで何か栄養を吸収させれるようなところではありません。常に老廃物を出しており、自然に体の外に出るようになっています。しかし、肌のターンオーバーの遅れがあると肌に老廃物が詰まってしまいます。詰まった老廃物をヒトは吸収することは出来ないため、炎症を起こして、皮膚を破壊します。その結果、老廃物がやっと外に出ることになります。
しかしその際に肌を強く破壊してしまうため、傷跡が残ったり、色素沈着が残ります。
一番大事なことは老廃物を上手に出せるような肌を作る事になります。これについても、今度まとめようと思います。
顔の皮膚は比較的多くの老廃物を出す部位であるため、ニキビや粉瘤などが出来やすくなります。そしてニキビも炎症を起こすと大きく腫れあがり、炎症後にはしこりが残るため、よく粉瘤と間違えて来院される患者様も多くいます。しかし、ニキビが悪化して繰り返している場合には切除をすることもあります。皮膚の老廃物を出す能力が炎症により壊れてしまい、結果的に粉瘤のように老廃物をためて粉瘤のように炎症を更に繰り返します。その際にはしっかりと壊れた皮膚を切除することがあるため、切開により切除することが多くなります。炎症を繰り返す前に何らかの手を打つことが大事になります。
今回の症例は今まで腫れたこともない症例であるため、比較的摘出しやすい症例でした。
局所麻酔を行い、3mmパンチを使用し、皮膚に穴をあけます。
しっかりと中身を絞り出し、粉瘤の袋を小さくします。
小さくなった袋を取り出すことで3mmの穴から腫瘍を取り出すことが出来ました。
創部を縫合し、手術を終了しています。
顔は人に見られる部位でもあるため、出来るだけ小さな傷で取る事を意識しなければいけません。くりぬき法は炎症の起こっていない腫瘍には非常に有用なやり方になりますが、何度も炎症を繰り返してしまうと、切開法による手術を選択することもあります。また4㎝を越えた症例でも切開を考えなければいけません。
もう一つの考え方としては再発覚悟で小さい穴から腫瘍を取り出し、再発してしまった場合に、また小さい穴から腫瘍を取り出す方法です。顔などで大きな腫瘍ができてしまい、どうしても傷を小さくして、腫瘍を取りたい場合には選択の一つになるかと思います。診察の際に手術方法についてはそれぞれの患者様に一番適した方法を紹介させて頂きますのでお気軽にご相談ください。
形成外科専門医 古林玄